王子様の危険な恋愛領域

「女子生徒から、芹澤さんが皆辻くんと付き合ってるって聞いたんだけど、本当?」 
   

「は、はい…。一応…。」


とりあえず肯定しておいた方がいいよね。


違います…なんて言ったら、香山先生…光琉に事実確認しそうだもん。


そんなことされたら、契約無効になるのは確実で、私の平穏な日々は…卒業するまで戻ってこないだろう。


それは、困る。


「ふ~ん。あなたが皆辻くんの彼女ねぇ…。」


じっくりと私を見る香山先生。


極めて不機嫌そうな表情だ。


「なんか…意外だわ。学園の王子様が選ぶ相手とは思えない…。」


まあ、そう感じるよね…。


素直に納得していると、香山先生は溜め息を零した。


「王子様も一時の気の迷いかしら…。それとも、芹澤さんを彼女にすることで、何かメリットがあるとか…?」


一人で考え始めた先生。


どうでもいいけど、一体…何の用事?


私は早く教室に戻りたいんですけど。


チラチラと準備室の時計に視線を向けていると、香山先生は冷ややかな目で私を見た。


「まあ、いいわ。今のは、ちょっと気になってたことを聞いただけ。本題は…これ。」


そう言って、香山先生は自分のデスクを指差した。
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