王子様の危険な恋愛領域
「お、重い…。」
クラスの人数分の課題ノートと冊子を両手で抱えながら、ゆっくり歩く。
これって、絶対に嫌がらせよね…。
本当は、光琉の彼女じゃないのに…事実を言えないのが、もどかしい…。
ハア…と盛大に溜め息を漏らした。
彼女のフリ、早く終わりにしてくれないかな…光琉。
そんな切なる願いを抱きながら、教室へと足を進めていく。
階段の前までやってきた私は、ピタリと足を止めた。
ここを降りないと、教室に行けないんだよね…。
だんだんノートや冊子を持つ手も震えてきたし、慎重に降りなくちゃ。
深呼吸をしてから、一段ずつ階段を降りていく。
この調子なら順調に降りることが出来そう…。
少し油断した、その時だった。
「ひゃっ…!?」
足元がよく見えないのが災いし、足を踏み外してしまった私。
ガクンと大きく視界が揺れて、体が前のめりになる。
このままじゃ、落ちる…。
反射的にギュッと目を瞑った。