王子様の危険な恋愛領域
「…ったく、紗姫は昔から抜けてるとこ…あるんだよな。」
フッと笑う淳也。
悔しいけど、本当のことなので言い返すことも出来ない。
口を尖らせていると、淳也はノートを指差した。
「そんなムッとした顔してる時間があったら、さっさと提出してきた方がいいんじゃねぇの?化学の先生、きっと…イライラしながら待ってると思うぜ?」
「そ、それもそうだね…。」
急がなくちゃ…。
私は勢いよく立ち上がった。
「んじゃ、頑張れよ。あまり怒られないことを、祈っていてやるから。」
「あ、ありがと…。淳也も、バスケ部…頑張りなよ?」
「おう。」
笑顔で頷く淳也に手を振って、教室を出る。
ノートをシッカリと手に持った私は、先生のところに向かうべく、廊下を走りだした。