王子様の危険な恋愛領域
ドンッというと共に体に走る衝撃。
ノートや冊子の散らばる音が響く。
だけど、階段から落ちたわりには…あまり体の痛みがないような気が…。
不思議に思いながら、ゆっくりと目を開けた私はビックリしてしまった。
「ひ、光琉…!?」
そう、目に映ったのは光琉の端正な顔。
私の体は光琉の体の上にあって、背中には光琉の大きな手が回されていた。
う、うそ……。
光琉が私を受け止めてくれたの…?
信じられない光景に瞬きを繰り返していると、眉をしかめていた光琉と視線が重なった。
「紗姫、大丈夫か…?」
「う、うん…。大丈夫だけど、どうして光琉が…ここに?」
「授業が終わったのに、紗姫が教室に戻って来ねぇから、気になって捜してた。お前に何かあったんじゃねぇかと思って。」
「そ、そうだったんだ…。」
「それで、ちょうどここを通り過ぎようとしたら、お前が足を踏み外して階段から落ちそうになっていたから慌てて受け止めた。ったく、すげぇ焦ったんだからな?」
光琉は背中に回していた片方の手を私の頭へと滑らせる。
そして、フワフワと撫でた。
「でも、ちゃんと受け止められて良かった。あのまま落ちてたら、大ケガしてたかもしれねぇからさ。」