王子様の危険な恋愛領域
はぁ……と小さく溜め息を零すと、不意に膝の下に差し入れられた光琉の手。
えっ!?
まさか、また…お姫様抱っこするつもり…?
「ちょ、ちょっと待って!!」
慌ててストップをかける私。
光琉は何やら不満そうな表情を浮かべた。
「なんで止めるんだよ。早く帰って、ゆっくり休まないと治らねぇぞ?」
「だからって、なんでまた…抱きかかえようとするのよ!」
「紗姫、家まで歩くの大変だろ?」
「だ、大丈夫っ!篠田先生にテーピングしてもらったし、自分で歩けるから。」
イスに座ったまま、右足をブンブンと振った。
お姫様抱っこされた状態で家に帰るなんて、無理だよ…無理!
さっきだって、すごく恥ずかしかった…っていうのに、今度は街中を歩くとか…恥ずかし過ぎて有り得ないよ…。
「本当に大丈夫か?」
「うん、平気!」
疑いの眼差しを向ける光琉に頷いた私は、ゆっくり立ち上がって歩き出す。
テーピングのおかげで、痛みは少し軽減されているように感じた。