王子様の危険な恋愛領域
「悪いが、拒否は受け付けねぇから。これが嫌なら、さっきみたいに抱きかかえるまでだけど?」
「えっ!?」
それってつまり、お姫様抱っこだよね…?
私は、慌てて首をブンブンと横に振った。
「あ、あれはイヤ!さっきだって、スッゴく恥ずかしかったんだから!」
「それじゃあ、おんぶだな。」
「それも、イヤ…。」
「どっちか選べ。」
な、なんで二択になってるのよ…。
心の中で文句を言っていると、光琉は吐息が掛かるほどの距離まで顔を近付けてきた。
「紗姫、どうする?選ばないと、いつまでも家に帰れないけど?」
「…………。」
顔、近い…。
こんなの、強引すぎるよ…!
とは言っても、このままじゃ…いつになったら家に帰れるか分からないし…。
そう思った私は、不服ながらも口を開いた。
「そ、それじゃあ……おんぶで。」
お姫様抱っこか、おんぶか…。
どちらも恥ずかしいけど、どちらかと言えば…おんぶの方がマシな気がしたからだ。
「了解。」
光琉はフッと笑うと、顔を離して再び私に背を向けてしゃがんだ。