王子様の危険な恋愛領域
先生のいる化学準備室は、北棟の1階。
古い棟で、化学や生物、物理など…理系の教室や実験室がある。
正直言って、授業以外では行くことのない場所だ。
はぁ…。
昨日、家に忘れたりしなきゃ、こんなことにならなかったのに…。
私のバカ…。
何度も後悔しながら、化学準備室へと急ぐ。
この角を曲がれば、北棟に続く渡り廊下…。
はぁはぁ…と息をきらしながら、角を曲がろうとした時だった。
「……どうしてっ?」
突然、聞こえてきた女の子の声に驚いて、ピタリと足を止める。
「なんで、急に…そんなこと言うのっ…!?」
感情が高ぶっているような声。
な、何事だろう…?
廊下の角から、おそるおそる顔を出して渡り廊下の方を見た私は、目を見開いてしまった。
えっ…。
あれは、黒岩先輩と皆辻君…!?