王子様の危険な恋愛領域
「ほら、乗れよ。」


「うん…。し、失礼します…。」


キョロキョロと周りを気にしながら、光琉の背中に体を預ける。


スッと立ち上がった光琉は、私の家に向かって歩き始めた。


「あの、私…重いでしょ?」


「全然重くねぇよ。すげぇ軽い。」


いくら何でも、それは大げさな気が…。


思わず、苦笑いを浮かべた。


「紗姫、足…早く良くなるといいな。」


「うん。あ、ありがとう…。」


な、なんなの…この優しい言葉は。


捻挫した私を、おんぶして家に送るだけでも、かなりの労力なはずだよね…?


不機嫌になってもいいぐらいなのに、その真逆とも言える反応…。



ほんと、調子…狂っちゃう。


フゥ…と息を零した私は、また周りに視線を向けた。


それほど人通りの多い道ではないけれど、すれ違う人は、私たちのことを見て行く。


おんぶも、やっぱり恥ずかしいな。


あまり、周りを見ないようにしよう…。


意識すると、恥ずかしさがますます強くなっちゃうもんね…。


心の中で頷いていると、光琉からフッと笑う声が聞こえてきた。

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