王子様の危険な恋愛領域
「きゃっ!!ちょ、ちょっと…何やってるのよ、光琉!」
「見れば分かるだろ?紗姫を抱きしめてんだよ。」
「そんなこと分かってるわよ!は、離してよ…!」
「嫌だ…って言ったら?」
「…………っ…」
なんなのよ、もう…!!
モゾモゾと身を捩るけれど、離そうとしない光琉。
相変わらずの強引っぷりに溜め息を零しそうになっていると、様子を見ていた淳也が不機嫌そうに口を開いた。
「おい、無愛想王子。紗姫が嫌がってるんだから離せよ。」
「アンタに命令される筋合いねぇんだけど。」
光琉はキッパリと言い捨てる。
抱きしめる腕の力が少し強くなった。
「俺と紗姫は、話の途中なんだから…無愛想王子は邪魔すんなよ。」
「それなら、尚更…邪魔してやるよ。紗姫は俺の女だ。他の男と一緒に居てもらいたくねぇからな。」
「…………。」
無言になる淳也。
鋭い視線が、私の後ろにいる光琉へと向けられている。
なんだか…すごくピリピリした空気。
こっ、怖いんですけど…。