王子様の危険な恋愛領域
居心地の悪い雰囲気に息苦しさを感じていると…


「おーいっ!淳也、もうちょっとで試合が始まるぞ!」


突然、飛んできた大きな声。


視線を向けると、グラウンドの入り口から、こちらに手を振っている男の子の姿が映った。


そっか、いよいよバスケの試合が始まるんだ…。


「俺、そろそろ行かねぇと…。」


渋々…といった表情をしながら溜め息を零す淳也。


頭をクシャクシャと掻いた。


「じゃあ、紗姫。もしも来れそうだったら見に来いよ。な?」


「う、うん…。試合、頑張ってね…。」


「おう、ありがと。」


少し笑みを浮かべた淳也は、光琉をキッと睨んだ後、足早にグラウンドを出て行く。


そう言えば、淳也…。


さっき…何か言いかけてたけど、あの時…何を言おうとしてたのかな…?


話の途中だっただけに、なんか気になる…。


小さくなっていく淳也の姿を見ていると、耳元に光琉の吐息がかかった。



「いつまでも、あの男のこと…見てるんじゃねぇよ。」






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