王子様の危険な恋愛領域
低い声で囁かれ、肩がピクッと上がる。
そうだ…。
私、光琉に抱きしめられたままだった…!
「光琉っ、いい加減に離してよ…!」
さっきよりも大きく体を捩るけれど、光琉は離してくれない。
「なあ、あの男って…確か紗姫の隣の席に座ってるヤツだよな?」
私の主張は完全に無視して、質問を切り出してきた。
「そ、そうだけど…。そんなこと…どうでもいいじゃない。それよりも、離し……」
「どうでもよくねぇ…。重要なことだ。アイツは、お前の何?」
ま、またしても私の意志はスルー!?
何が重要なのかサッパリ分からないけど、質問に答えないと、私の訴えなんて聞く耳持たずなんだろうな…。
そう察知した私は、溜め息混じりに口を開いた。
「淳也は、幼なじみだよ…。家も近所で、小さい頃から知ってるの…。」
「ふーん、アイツは紗姫の幼なじみか…。」
素っ気ない声が私の耳元で響く。
これで解放されるかと思いきや、光琉は小さく舌打ちをした。