王子様の危険な恋愛領域
恋人のフリ…?
契約…??
それって、どういうこと…?
頭の中に、いくつも疑問符が浮かんだ。
「た、確かに…『恋人のフリでいいから、付き合って欲しい…』って頼んだのは私だけど、そんなの建前に決まってるじゃないっ…!本当は、私の彼氏になってもらいたいの…。」
「…………。」
無言の皆辻君を見つめながら、黒岩先輩は目を潤ませる。
「王子は女の子に興味なさそうだから、なんとかして近付きたかったのよ…。私、王子のことが本気で好きだから…。」
「……………。」
ったく、皆辻君も何か喋ったらどうなの…?
沈黙を続ける皆辻君を、こっそりと睨み付けた。
「私の頼みを、王子が受け入れてくれた時、すごく嬉しかった…。もしかしたら、この先…私を本物の彼女にしてくれるんじゃないか…って思ったから。そ、それなのに………」
「あのさ、勘違いしないでくれる…?」
黒岩先輩の言葉を遮るようにして響いた皆辻君の声。
とても低い声に、ビクッと体が震えた。