王子様の危険な恋愛領域

「ひ、光琉…?」


突然…どうしたのかと思い、光琉の顔を見上げた瞬間、私の額に触れた温かいもの。


「………っ!?」


それが光琉の唇だと分かるのに、時間は掛からなかった。




『キャーッ、王子が芹澤さんにキスするなんて、ショック…!』


『なんで、キスの相手が芹澤さんなのかサッパリ分からない…。』


『私だって、王子からキスしてもらいたいのに…何よ、あの子。最悪。』


私たちを見ていた周囲の女の子たちからは、すかさず悲鳴やら戸惑いの声があがる。


冷たい視線が注がれる中、私は慌てて光琉から少し離れると、額を両手で覆った。


「ちょ、ちょっと!!いきなり何してるのよ…!」


驚いてアタフタする私を、光琉は満足げに見ている。


嬉しそうな表情だ。


「何…って、キスしたんだよ。」


「そっ、そうじゃなくて!!どうして、きっ…キスなんてしたの!?」


ぎこちない声で訊ねると、光琉に腕を掴まれ、すぐ傍に引き寄せられてしまった。



「そんなの、キスしたかったからに決まってんだろ…。」




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