王子様の危険な恋愛領域
「紗姫、帰るぞ。ここに居ると、女たちの視線や声が鬱陶しいから。」


「えっ!?光琉…帰っちゃって大丈夫なの?優勝したんだし、チームの男の子たちと打ち上げとかしないの?」


「しねぇよ。仮に打ち上げがあったとしても、お前を家まで送ることの方が優先だ。」


キッパリと断言された私は、何も言えずに瞬きを繰り返す。


女の子たちの悲鳴が飛び交う中、光琉は私を連れてグラウンドを後にした。


「……ったく、キャーキャーうるせぇ女たちだったな…。ウザすぎ。」


光琉の応援に来てた女の子たちなのに、相変わらず冷たい反応だな…。


「あっ。紗姫、俺…歩くの速くねぇか?足…大丈夫?」


「うん、大丈夫。歩くスピードは、ちょうどいいぐらいだから。」


「そっか、それならいいけど…。捻挫、まだ治りかけなんだから無理すんなよ?」


でも、私には…なんだか優しい。


このギャップは…なんなの…?


ドクンドクン…と勢いよく波打つ鼓動。


先ほどキスを落とされた額が、火照っているんじゃないかと思うほど、熱を帯びているように感じた。


私の原因不明の症状、かなり深刻かも…。



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