王子様の危険な恋愛領域
「ちょ、ちょっと…梨帆。これ、私には可愛い過ぎて無理だってば。」
梨帆の部屋のスタンドミラーの前で、不満を零す。
袖口や裾が白いレースであしらわれた、小花柄の淡いピンク色のワンピース。
肩も出ていて、膝丈もかなり短い。
髪は、ふんわりと緩く巻かれてしまった。
普段…こんな露出の多い格好をしないだけに、抵抗感が半端ない。
思わず鏡に映る自分に赤面してしまう。
「そんなことないよ!お姉ちゃん、すごく似合ってて可愛い!王子様、お姉ちゃんを見たら惚れ直しちゃうよ、きっと!」
いやいや、それはない。
光琉は私を女除けとしか思ってないんだから…。
こんな姿を見たら、冷めた目をするに決まってるよ…。
「やっぱり、私…自分の服に着替える。」
「あ~、ダメダメ!!せっかく綺麗にコーディネートしたのに勿体ないよ!」
「そんなこと言われても、梨帆のワンピース…甘すぎるんだもん…。これ着て出掛けるなんて
、落ち着かない…。」
「大丈夫っ!そのうちに慣れるから。」
「なっ、慣れるわけ……」
そこまで言った時、インターホンの鳴る音が聞こえてきた。