王子様の危険な恋愛領域
「紗姫、皆辻君が来たわよ~!」


その後すぐに、1階からお母さんの声が飛んでくる。


光琉、来ちゃったんだ…。


うぅ…。
元の服に着替えたい…。


鏡の前で固まってると、梨帆はギュッと私の腕を掴んだ。


「お姉ちゃん、王子様が迎えに来たんだから、早く行かなくちゃ!」


私にクリーム色の小さなバッグを持たせた梨帆は、グイグイと腕を引っ張って部屋の外へと連れ出す。


「ちょっと、梨帆!」


「ほら、急いで急いで!」


梨帆に促され、階段を駆け降りた私。


そのまま、玄関まで強引に連れて来られてしまった。


「紗姫…。」


玄関で待っていた光琉は、私の姿を見るなり目を見開く。


固まってるところから察するに、相当…驚いてるみたいだ。


原因は、やっぱり…この格好だよね。


“即行で着替えて来い”って言われそう。


あぁ、恥ずかしい…。


顔が熱くなるのを感じて、俯いた時だった。



「……可愛いじゃん。」








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