王子様の危険な恋愛領域

「光琉、ごめんね…。お母さんたち、光琉が来ると…テンションが上がっちゃうみたいなんだ…。」


「別に紗姫が謝ることじゃねぇだろ。」


「で、でも……」


あんなにニヤニヤしながら見られたら、あまりいい気分はしないだろうし…。


そう思っていると、光琉がジーッと私を見つめた。


「な、何?」


もしかして、“今回は大目に見るけど、次からはジロジロ見ないように伝えろ”とか言うのかな…?


頭の中で想像しながら固まっていると、光琉は不意に優しく目を細めた。



「今日の服、紗姫に似合ってると思ってさ。」


「えっ……」


思いも寄らぬ言葉に目を見開く。


ポカンと口を開ける私に、光琉はフッと笑った。


「最初に見た瞬間、普段の制服姿とは違う紗姫にビックリしたけど、すげぇ可愛いと思った。思わず見惚れたぐらいだし。」


「う、うそっ!?」


「お前に嘘ついてどうすんだよ。」


苦笑いする光琉に、私は“えぇっ!!”と近所に響き渡るぐらい大きな声をあげてしまった。

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