王子様の危険な恋愛領域
「お前、黒岩先輩と付き合ってた時は、いつもダルそうで、無表情でいることが多かったのに、まるで正反対だよな。今は…イキイキしてるじゃん。」


「当たり前だ。あの時とは気持ちが全然違う。っていうか、あの先輩とは付き合ってるフリをしてただけであって、付き合ってねぇよ。自分から付き合いたい…って思えたのは、紗姫が初めてだから。」


えっ…?
私たちも付き合うフリしてるんだよね…?


今の光琉の言葉、どういう意味?


「そっか、それだけ本気なんだな。」


「ああ。」


頷く光琉を見ながら、笑みを浮かべる優貴君。


さっきから、話の内容についていけないんですけど…。


おかげで、頭の中がハテナマークのオンパレードだ。


いっそのこと…デートは中止して、優貴君と積もる話でも、ゆっくり話せばいいのに…なんて思っていると、光琉は腰に回していた手を離す。


そして、私の手を握った。

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