王子様の危険な恋愛領域
ひゃあああっ、皆辻君!!
あまりにも驚き過ぎて声が出てこない。
心の中で思いっきり悲鳴をあげた。
黒岩先輩に気付かれなくて良かった…って安堵してたけど、まだ皆辻君が居たんだった…。
ゆ、油断してたよ…。
「もしかして、盗み聞き?」
冷ややかな視線が突き刺さる。
背中に嫌な汗がつたった。
な、なんか…纏ってるオーラが怖い…。
ビクビクしていると、突然…皆辻君は少し首を傾げた。
「ん?アンタの顔…どっかで見たことあるな。」
は…?
皆辻君と私なんて、今まで接点がないのに、どういうこと…?
疑問を浮かべる私のことを、眉をしかめながら、ジーッと凝視する皆辻君。
っていうか、そんなにジロジロ見ないで欲しいんですけど…。
注がれる視線に息苦しさを感じていると…
「あ…、思い出した。」
皆辻君は、溜め息まじりの声で呟いた。
「最近、登校する時によく見掛ける不機嫌女だ。」