王子様の危険な恋愛領域
まあ、当の本人は…この状況を鬱陶しく思ってるんだろうけど。


不機嫌な表情をしてるに違いない…と思いながら、光琉に視線を移した途端…。


「えっ……」


私を見ている光琉と目が合ってしまった。


「ど、どうしたの…?」


「紗姫を見てたんだよ。んなこと、いちいち聞かなくても分かるだろ?」


アッサリと答える光琉に瞬きを繰り返す。


真っ直ぐな眼差しに圧倒された私は、慌てて視線を逸らした。


「わ、私なんか見ないで、周りを見たら?ほっ、ほら……店内にいる女の人たち、みんな光琉を見てるよ!」


スゴい光景っぷりをアピールすると、光琉から溜め息が零れる。


次の瞬間、私の耳元に吐息がかかるのを感じた。


「他の女の視線は興味ない。俺が見ていたいのは紗姫だし、お前には…俺を見てもらいたい。」


その言葉にビックリして、反射的に光琉の方へと顔を向けた私。


鼻が触れそうなほどの距離の光琉と視線が絡まった。

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