王子様の危険な恋愛領域
「し、してないっ!普通よ、普通!それよりメニュー頼んだ方がいいよね…!私、スイーツブッフェにする。光琉は?」


「俺はブッフェは特に興味ねぇから、ピザでも頼もうかな。」


「了解、ピザね。」


コクコクと頷いた私は、傍を通りかかった店員さんを呼び止める。


さっさとメニューを注文し終えると、席を立ち上がった。


「それじゃあ、早速…スイーツを選んで来るね。」


「あ、ああ。」


私は逃げるようにして、たくさんのスイーツが並べられているテーブルのところへと移動した。


ここなら、多少…気持ちが落ち着く。


光琉の前だと、よく分からないドキドキが…いきなり発症するんだもん…。


あのドキドキは、緊張とは…違うんだよね。


上手く言葉で言えないけど、全く別物だ。


一体、何が原因のドキドキだっていうのよ…。


溜め息を零すと、フワリと甘いチョコレートの香りが鼻をくすぐった。


あぁ~、ダメダメっ!!


せっかく、スイーツブッフェに来てるんだから、今は…こっちを楽しまなくちゃ…!


私は首を左右に振って、頭の中でモヤモヤと考えていたことを吹き飛ばした。

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