王子様の危険な恋愛領域
「ちょっと、光琉!?」


「俺が持つ。」


「で、でも……」


「紗姫を一人にしておくのは危ねぇから、傍に居る。」


は、はい?


光琉の言葉に、疑問符を浮かべる。


「あの、そのお皿…スイーツをたくさんのせたとしても、それほど重くならないと思うよ?私一人で運べるから…。」


一人でも大丈夫なことをアピールすると、光琉は苦笑した。


「いや、俺の“危ない”は、そういう意味じゃねぇよ。」


「えっ…」


首を傾げる私の耳元に、光琉はスッと顔を近付ける。


「紗姫が、他の男に声掛けられたりしたら、俺…嫌だから。」


低い声で囁かれて、ビクッと肩が上がった。


「そ、そんなこと…あるわけないでしょ!」


全力で否定する。


店内には男性のお客さんもいるけれど、私に声を掛ける人なんているわけがないよ…。


有り得ない、有り得ない。


心の中で頷いていると、光琉は私の腰に手を回して引き寄せた。


「……ったく、無防備にも程があるよな、お前。」


「ひゃっ…!!」


ピタリと密着する体に、思わず声が零れる。


人前での大胆すぎる光琉の行動に、頬が瞬く間に熱くなってしまった。
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