王子様の危険な恋愛領域

「ふ、不機嫌女…?」


「ああ。朝からムスッとした顔で歩いてるじゃねぇか。今日なんて、俺にガン飛ばしただろ?」


ジロリと睨まれた私は、肩をすくめる。


確かに、今日は睨んだ。


だけど、それ以前から不機嫌な表情を見られてたなんて、全然…気付かなかった。


まあ…無理もないか。


私、皆辻君のことなんて…殆ど見ようともしてなかったし…。


「朝、俺が登校してくると、周りを取り囲んではしゃぐ鬱陶しい女たちや、立ち止まって嬉しそうに俺を見ているウザイ女たちばかり。だから、アンタみたいな女…逆に目立つ。」


うそ…。
私って、目立ってたの…?


思ってもみなかった言葉に瞬きを繰り返した。


「何が不満だか知らねぇけど、今後…俺にガン飛ばすのは止めろ。いい迷惑だから。」


「なっ……」


何よ、その言い方!!


だいたい、誰のせいで不機嫌になってると思ってるのよ…。


沸々と怒りが込み上げる。



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