王子様の危険な恋愛領域

あぁ…幸せ。


チョコレートロールケーキやガトーショコラ、チョコレートプリン…など。


大好きなチョコレートスイーツから順番に、黙々と食べていく。


口の中に広がる香りと甘さに、幸福感が心を満たしていくのを感じた。


スイーツブッフェ、楽しいし…癒やされるなぁ…。


しみじみと感じていた時だった。


「紗姫、ストップ。」


「えっ?」


「少しの間、動くなよ?」


ど、どうして…?


突然の言葉に、何がなんだか分からずにいると、光琉が少し前のめりになって、私に顔を近づけてくる。


そして、人差し指で私の唇の端に触れた。


「チョコレート、ついてる。」


優しく笑った光琉は、スッと拭うと…その指をペロリと舐めてしまった。


「光琉っ、何してるの!?」


「ん、甘いな。」


「そうじゃなくて、なんで舐めちゃうのよ!自分で拭けるのに…。」


「別にいいだろ?俺がそうしたかったんだから。」


イタズラっぽく笑う光琉に、カアッと頬が熱くなる。


特に、指で拭われた唇の端は、焼けそうなほど熱を帯びていた。

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