王子様の危険な恋愛領域
雨宿りと初キス
「紗姫、スイーツ…堪能できたか?」
「う、うん…。」
「俺が頼んだピザも、結構…うまかった。さすが予約がなかなか取れない人気店だけあるな。」
「………。」
スイーツを食べ終えて、お店を出た私たち。
嬉しそうな笑顔を浮かべる光琉を見ながら、胸元を擦った。
まだ、ドキドキしてる…。
光琉に唇の端についたチョコレートを拭われてから、ずっとこんな感じ。
スイーツブッフェは楽しかったけど、あまり食べた気がしなかったな…。
それよりも、この波打つ鼓動の方が気になってた…。
おかしいよね…。
普通じゃない、絶対に。
黙々と歩いていると、光琉は私の手をギュッと握った。
「どうしたんだよ。なんか、難しい顔してるぞ?眉間にシワ寄ってるし。」
「きゃっ…」
そう言って、ツンと私の眉間を軽くつつく。
いきなり触れられた私は、驚いて思いっきり体を仰け反らせてしまった。
「も、もう…!急に触らないでよ!!ビックリするじゃない。」
「いいだろ、触れたかったんだから。っていうか、今…やけに過剰反応だったよな。まあ、そういう紗姫も可愛いけど。」
フッと笑う光琉。
私は、何も言えずに視線を逸らした。