王子様の危険な恋愛領域
「本当の、彼女……」


「ああ。」


小さく頷く光琉を、真っ直ぐ見つめる。


私は、何度も瞬きを繰り返した。


彼女のフリから、本当の彼女へ…。


早鐘を打つ鼓動は、雨音に負けないぐらい大きな音で鳴り響く。


体温が急激に上昇していくような気がした。


私、光琉の言葉が嬉しい…と思ってる。


このドキドキの中に染み渡っていくような、とても温かい気持ち。


これが、恋…なんだ。


「紗姫、返事は?」


「あ、えっと…」


「俺と付き合うの、嫌か?」


言葉に詰まる私に、そう訊ねた光琉。


私は、自然に首をフルフルと横に振っていた。


「い、嫌じゃない…。」


少し前の私だったら、絶対にお断り…だったのに、今は…嫌なんて思いは抱いていない。


「そっか。じゃあ、これからは俺の正式な彼女…ってことでいいんだよな?」


「うん。多分、光琉のこと…すっ、好きだから…。」


言った途端に、湯気が出そうなほど顔が熱くなってしまった。

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