王子様の危険な恋愛領域
「“多分”は余計だろ?」
「だ、だって…ついさっき、この原因不明の症状が恋だって知ったばかりだから、な…なんていうか、その…驚きとか戸惑いの方が大きくて、まだ気持ちが上手く見えないんだもん…。」
頭の中、パニックだよ…。
落ち着かなくてソワソワしていると、光琉は嬉しそうに目を細めた。
「分かったよ。とりあえず、今は…それでいいや。だけど……」
光琉は私の前髪をフワリとかき分ける。
そして、私の額に軽くキスを落とした。
「近いうちに、ちゃんと紗姫の口から言わせてみせるからな。ハッキリと“好き”って。」
「えっ…」
「俺に溺れさせてやるよ。」
光琉の真っ直ぐな瞳が私を映す。
次の瞬間、再び抱きしめられる私の体。
雨足が弱くなり、雨音が小さくなる中…。
私の心臓の音は、一層…大きくなるばかりだった。