王子様の危険な恋愛領域
梨帆かな…?
いつもならノックもしないで入ってくるのに、珍しい…。
口うるさく注意してたから、ようやく言うこと聞いてくれたのかも…。
「入っていいよ、梨帆…。」
そう言葉にすると、ドアがゆっくり開く。
「えっ……」
部屋の中に入ってきた人物に、私は目を見開いてしまった。
「妹じゃなくて、悪いな。」
「ひ、光琉っ…。」
驚きのあまり、声が見事に裏返る。
どっ、どうして光琉がここに居るの!?
疑問符を頭の中で浮かべていると、光琉がフッと笑った。
「紗姫、なんで俺がここに居るのか…疑問に思ってるだろ?」
「う、うん…。」
コクコクと頷く。
すると、光琉は私のいる窓際へと近付いてきた。
「いつもより早く紗姫の家に着いたから、外でお前が来るの待っていようと思ってたんだけどさ、紗姫の妹から“お姉ちゃんを起こしてきて欲しい”って、お願いされたんだよ。」
り、梨帆ってば…勝手にそんなこと頼まないでよ…!!
心臓が止まりそうなほどビックリしたじゃない…。