王子様の危険な恋愛領域
「なんだか、物足りなさそうな表情してるな。もう一度、キスしようか?」
私の唇をスッと指でなぞる。
その仕草にドキッとしながら、首を小さく横に振った。
「い、今ので充分だから!っていうか、この部屋に入って来て早々に、なんで…キスするの!?」
「“なんで”って聞かれてもな…。紗姫を見たら、キスしたくなった。それが理由だ。」
「り、理由になってないよ…。」
「別に理由がなくたっていいだろ?紗姫は俺の女なんだし。キスは、俺がしたい時に遠慮なくさせてもらう。」
「えっ!?」
それってつまり、光琉の気分次第ってこと…!?
人前でされたりしたら、恥ずかし過ぎるよ…。
そんな事態を想像するだけでも、赤面してしまう私がいた。
「朝から、顔…真っ赤。」
「ひ、光琉が変なこと言うからでしょ?」
フッと笑う光琉に抗議すると、不意に抱き寄せられてしまった。