王子様の危険な恋愛領域
「そうそう、紗姫!あなたに話すの忘れてたんだけど……」


「あ、話なら学校から帰って来てからゆっくり聞くから!」


今は心臓がバクバクいっていて、冷静に話を聞いている場合じゃない。


後回し、後回し…。


お母さんの言葉を途中で遮った私は、慌ただしく家を出た。


「いいのか?話…聞かなくて。」


「うん。そんなに重要なことじゃないと思うから。そ、それより…さっきの……」


「ん?」


「正式に付き合い始めた…って、お母さんに言ったでしょ?突然だったから、ビックリしたよ…。おかげで顔が半端ないぐらい熱くなったんだから。」


まだ熱が冷めない。


両手で頬を押さえると、光琉は私の頭をポンポンと撫でた。


「ちゃんと、紗姫のお母さんに言っておきたかったんだよ。今までの関係との区切りをつけたかったし。っていうか、お前…真っ赤になり過ぎ。」


「だ、だって…仕方ないじゃない。こういうこと…初めてなんだもん…。」


口を尖らせると、光琉はフッと笑って、私の額にキスを落とした。


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