王子様の危険な恋愛領域
「ふぁぁっ!何してるのよ!!」
「キスしたんだよ。聞かなくたって分かることだろ?」
「そ、そういう意味じゃないわよ!どうして、このタイミングでするわけ?」
額を両手で押さえながら抗議すると、光琉はニヤリと笑みを浮かべた。
「紗姫の反応が面白そうだな…と思って。」
「は、はい?」
面白い…って、失礼な。
眉をしかめると、光琉は優しく目を細める。
「嘘だよ。」
そう言ったかと思うと、私の耳元に顔を近づけてきた。
「真っ赤な顔してる紗姫が、すげぇ可愛いから…キスしたくなった。」
囁かれた吐息まじりの声に、ドキッと心臓が跳ね上がる。
顔どころか、全身が熱に冒されてるみたいだ。
「そんなことストレートに言わないでよ…。恥ずかしいんですけど…。」
「それは無理だな。好きな女に遠回しの言葉なんて、使いたくねぇから。」
光琉は私の手を取って、ギュッと握った。