王子様の危険な恋愛領域
「ひゃっ、ちょっと!!」
体を仰け反らせてビックリしてしまった私。
慌てて片手で耳たぶを押さえると、光琉はニヤリと口端を上げて笑みを浮かべた。
「まあ、紗姫にも…そのうち意味が分かるよ。」
な、何よ…それ。
“そのうち”なんて言われたら、余計に気になるんですけど…。
モヤモヤしながら帰り道を歩くうちに、私の家の前までやって来てしまった。
「紗姫と帰って来ると、着くのがあっという間だな。もう少し…傍に居たい。」
名残惜しそうな表情で、光琉は私を抱き寄せる。
胸の中に包み込まれて、鼓動が激しく波打つのを感じた。
確かに、光琉との帰り道…あっという間に時間が過ぎちゃった…。
心臓は、ドキドキ、ソワソワして常に落ち着かなかったんだけど…
私も、もうちょっと…光琉と一緒に居たいな…。
そう思いながら、光琉の胸元に顔を埋めた時、不意に後ろから足音が聞こえてきた。