王子様の危険な恋愛領域
「えっ…」


光琉は、不機嫌どころか…優しい笑顔を浮かべていて…。


私は、瞬きを繰り返した。


「光琉、無理しなくていいんだよ?嫌なら嫌って言ってくれればいいんだからね?」


「無理なんかしてねぇよ。俺だって、紗姫が一人で留守番するなんて心配だからな。それなら、一緒に居た方がいい。」


柔らかい眼差しを向けられ、ドクンと鼓動が高鳴る。


光琉の顔を見たまま固まっていると、お母さんから微笑ましそうに笑う声が聞こえてきた。


「よしっ、決まり!皆辻君、紗姫のこと…よろしくお願いします。あっ、部屋とか…自由に使ってもらえればいいからね!気楽に泊まりに来て?」


「はい、分かりました…。」


あっさりと快諾してるよ、光琉…。


お母さんの突然すぎるお願いなのに、本当に大丈夫かな…。


だって、一週間…この家に泊まるんだよ?


私と……。


「……………。」


っていうか、私自身は大丈夫なの!?


光琉と一つ屋根の下で、一週間も過ごすなんて……。


心臓、耐えられるんだろうか…。


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