王子様の危険な恋愛領域
「それじゃあ、俺…長居しても悪いので帰ります。」


「皆辻君、突然のお願いだったのに、了承してくれてありがとう…。」


「いえ、紗姫のことが心配なのは俺も同じなので…。」


「ふふ、皆辻君は優しいのね…!紗姫、ボンヤリしてないで、皆辻君を見送ってあげたら?」


「えっ、あ……うん。」


ニンマリと笑みを浮かべるお母さんに、慌てて頷く。


光琉と一緒に外に出ると、夕焼け空が辺りをオレンジ色に染め上げていた。


「綺麗…。」


自然と、そんな言葉が零れる。


空を見上げていると、不意に肩を抱き寄せられた。


「俺には、紗姫の方が…綺麗に見えるけど?」


耳元で囁かれ、顔から湯気が吹き出しそうな感覚に陥る。


鼓動が激しく跳ねて、体を揺さぶった。


「もうっ…!!何言ってるのよ…!」


「今、感じたことを素直に言ったまでじゃん。何か異議でもあるわけ?」


異議っていうほどじゃないけど、そんなに思ったことをサラリと言わないでよ…。


言われる方の身にもなってよね…。


嬉しいけど、ストレートな分…とっても照れくさいんだから…。


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