王子様の危険な恋愛領域
「紗姫、今…“来週は一人で乗り切る”とでも言おうとしただろ?」
「うっ……」
光琉ってば鋭い…。
どうして、考えてること…見透かされちゃうのよ…。
唇に触れられた人差し指の体温を感じながら、視線を泳がせる。
図星な言葉に何も反論出来ずにいると、光琉は指を私の唇から離して、顔をグッと近付けてきた。
「一人になんて、させねぇから。」
「えっ…」
「俺が紗姫の家に泊まるか、紗姫が俺の家に泊まるか。二つに一つだ。それ以外の選択肢はねぇよ?」
「ちょ、ちょっと光琉!顔が近いっ…」
「んなこと、どうでもいいから早く選べ。」
どうでもよくないんですけど!!
そんな簡単に受け流さないでよ…。
吐息がかかるぐらいの至近距離に、顔がやたらと熱くなる。
「か、顔が近過ぎて…選んでる余裕がないよ…。」
「どちらか選んだら離れてやる。だから、すぐに決めろ。」
話が、噛み合ってない……。
心の中で溜め息を零していると、光琉のおでこが私のおでこに触れた。