王子様の危険な恋愛領域
「ごめんなさ……あっ、淳也…。」


「紗姫…。」


謝りながら振り向くと、そこに立っていたのは淳也だった。


「おはよ。」


少し素っ気ない淳也の声。


「う、うん…。おはよう。」


ぎこちなく挨拶を返すと、淳也はそれ以上は何も話さず、スタスタと教室の中へと入って行ってしまった。


「な~んか、近頃…紗姫と橘君、雰囲気が変じゃない?」


「そ、そう…?」


「うん。前よりも喋らなくなったし、ちょっと…よそよそしい感じだよね。」


亜弓ちゃん、気付いてたんだ…。


やっぱり、鋭いな…。


そう思いながら、少し苦笑いしてしまった。


実は、この前の球技大会の日以来、私と淳也は…なんだか気まずい状態になっている。


淳也が、私に殆ど話しかけてこなくなったし、言葉や態度も以前より素っ気なくなったのだ。


淳也よりも光琉の応援を優先したことが原因だろうか…って考えたりもしたけど、本当のところは分からない。


こんな状況だから、淳也本人にも聞きにくいんだよね…。


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