王子様の危険な恋愛領域
低く響いた声。
振り向くと、そこには…不機嫌極まりない表情の光琉が立っていた。
「ひ、光琉!?いつ来たの…?」
「ちょうど、今来たところ。」
「そ、そっか…。」
全く気配なかったから、ものすごく驚いちゃった……。
心臓をバクバクさせていると、淳也は光琉を見ながら眉をしかめた。
「コソコソと後ろから近付いてくるなんて、無愛想王子は悪趣味だな。」
「アンタこそ、彼女でもないくせに…紗姫に馴れ馴れしく話すとか、無神経にも程があるんじゃねぇの?」
「話をするぐらい、自由だと思うけど?俺と紗姫の会話に割って入ってくる、無愛想王子の方が、よっぽど無神経じゃん。」
な、なんか…。
すごく空気がピリピリしてる…。
二人とも言葉にトゲがあるし、睨み合ってるよ…。
光琉と淳也を交互に見ながら、その醸し出す雰囲気に肩をすくめた。