王子様の危険な恋愛領域
「コイツが紗姫の家に泊まるのか?」
「あっ、えっと……うん。」
私は、コクンと頷いた。
光琉が口にしてしまった以上、誤魔化すのも変だし、正直に答えるしかないよね…。
「そうか…。じゃあ、誘っても意味ねぇよな。」
フッと苦笑いする淳也は、なんだか寂しげに見えて……。
「淳也……あの…」
声を掛けようとすると、光琉に腕を掴まれた。
「もう、この話はいいだろ。紗姫、行くぞ。」
「えっ……」
私のお弁当箱をヒョイッと持った光琉は、腕を引いて教室の外へと連れ出す。
その瞬間…淳也を見たけれど、私たちの方は見ていなくて、少し俯いていた。
淳也、驚いてたな…。
それに、さっきの寂しそうな表情…。
小さい頃から一緒にいることが多かったけど、あんな顔する淳也…見たことない。
どうしたんだろう…淳也。