王子様の危険な恋愛領域
「紗姫、今日は凄く眠そうだけど、調子悪い?大丈夫…?」
お弁当箱を開けると、亜弓ちゃんから心配そうな声が掛かる。
私は慌てて首を横に振った。
「ううん、単に寝不足…っていうだけだから、大丈夫だよ!ありがとう。」
「そっか、良かった…。」
ホッとしている亜弓ちゃんに笑顔を向けた後、二人でお昼ご飯を食べ始める。
穏やかな時間。
眠かったから、いい気分転換になるなぁ…。
そう思いながらご飯を口に運んでいると、亜弓ちゃんが何かを思い出したような表情で、私の顔を覗き込んできた。
「そうそう、ビッグニュースよ、紗姫!」
「えっ、何?」
「王子と黒岩先輩、昨日…別れたらしいの。」
その言葉に、箸でつまんでいたご飯を危うく落としそうになってしまった。