王子様の危険な恋愛領域
ドクンッと跳ねる心臓。


波打つ鼓動の一つ一つが、光琉に聞こえてしまいそうだ。



「紗姫は…俺だけの大切な女だから。」



その言葉の後に、おでこに触れた柔らかい感触。


それが光琉の唇だと分かるのに、それほど時間は掛からなくて……


私の顔は、急激に熱くなってしまった。


「ひ、光琉……なっ…」


そこまで言ったところで、光琉は人差し指で私の唇を押さえる。


「“なんでキスしたの?”なんて聞くなよ?」


「……………。」


どうして、私が言おうとしてたこと…分かったんだろう…。


驚いて固まる私の顔を覗き込む光琉。


柔らかく笑いながら、唇を押さえていた指をゆっくりと離した。




「好きだからキスしたんだよ。」


そう言うと、今度は私の唇にキスを落とす。


触れられた衝撃でビクッと体が震えた私。


その反応に、一旦…唇を離した光琉だったけど…


「………っ…」


また、すぐに私の唇を塞ぐ。


少し強引な口付けから私が解放されたのは、しばらく後のことだった。


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