王子様の危険な恋愛領域
Tシャツにジャージのラフな格好をしている光琉。
さっきみたいな怒ってる雰囲気は感じとれない。
「あれ、まだ…制服のままじゃん。」
「う、うん…。いつの間にかソファーで寝ちゃったみたいで…。」
「そっか…。」
「光琉も、寝てたの…?」
「いや、ずっと起きてた…。ちょっと喉渇いたから水でも飲もうと思ってさ…。」
「あ、良かったら…麦茶飲む?ちょうど私も飲んでたところだから…。」
「ああ。」
私は、もう一つコップを棚から出すと、麦茶を注いだ。
「サンキュ…。」
コップを手にとって口へと運ぶ光琉。
あっという間に飲み干すと、コップをテーブルの上に静かに置いた。
「…………。」
「…………。」
訪れる沈黙。
今の会話も、お互いぎこちない感じだったし…何だか気まずい…。
この空気をどうしたらいいのか分からず、もう一口…麦茶を飲んだ。