王子様の危険な恋愛領域

Tシャツにジャージのラフな格好をしている光琉。


さっきみたいな怒ってる雰囲気は感じとれない。


「あれ、まだ…制服のままじゃん。」


「う、うん…。いつの間にかソファーで寝ちゃったみたいで…。」


「そっか…。」


「光琉も、寝てたの…?」


「いや、ずっと起きてた…。ちょっと喉渇いたから水でも飲もうと思ってさ…。」


「あ、良かったら…麦茶飲む?ちょうど私も飲んでたところだから…。」


「ああ。」


私は、もう一つコップを棚から出すと、麦茶を注いだ。


「サンキュ…。」


コップを手にとって口へと運ぶ光琉。


あっという間に飲み干すと、コップをテーブルの上に静かに置いた。


「…………。」


「…………。」


訪れる沈黙。


今の会話も、お互いぎこちない感じだったし…何だか気まずい…。


この空気をどうしたらいいのか分からず、もう一口…麦茶を飲んだ。




< 269 / 295 >

この作品をシェア

pagetop