王子様の危険な恋愛領域

「あのさ……」


言葉を切り出したのは…光琉。


切なげに眉を寄せていた。


「さっきは、本当に…ごめん。紗姫を泣かせるなんて、マジ…最低なことした…。」


「光琉……」


「俺、屋上で紗姫がアイツに抱きしめられてんのを見てイライラしてたところに、紗姫からアイツにキスされた…って聞いて、思わずカッとなった。紗姫は俺の女なのに…って激しく嫉妬したんだ。」


「えっ…」


「でも、だからといって紗姫に怒ったり、無理やり…あんなキスするなんて、反則だよな。あー、本当…情けねぇよ。自分の心の狭さには呆れる。」


光琉は、苦笑いしながら俯く。


「アイツが紗姫に告白した時、すげぇ焦ったんだ。アイツは、俺の知らない昔の紗姫をたくさん知ってる幼なじみだから。もしかしたら、紗姫はアイツに告白されて、気持ちが揺らぐんじゃないか…って不安になった。」


「えっ……」


「ほら、紗姫にとって俺はまだ…“多分好き”なわけだろ?」


その言葉に胸がギュッと苦しくなった。


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