王子様の危険な恋愛領域
『うん。多分、光琉のこと…すっ、好きだから…。』
光琉と初めてデートした、あの日。
雨宿りをする中、光琉から告白をされて…。
その時に私が言ったこと。
そうだ…。
あの瞬間は、自分の抱いていた感情が恋だと気付いたことに驚きや戸惑いがあって、“多分”としか言えなかった。
だけど、あの後…一晩ちゃんと考えて“好き”だと自覚した。
それなのに、まだ私は…ハッキリと光琉に言葉で伝えていない…。
いざ伝えようとすると、緊張でドキドキし過ぎて上手く声に出来なくて…
結局、後回しにしていた。
「光琉っ、あの…私っ……」
いつまでも、それじゃダメだ。
今、言わなくちゃ…。
告白しようと口を開いた私だったけれど、光琉は髪をクシャッとさせながら、曇った顔でフッと笑った。
「嫉妬で大切な女を泣かせるなんて、これじゃあ…紗姫に“好き”って言ってもらえるわけねぇよな。っていうか、その資格すらねぇのかもしれないな、俺は。」
「光琉……」
「ごめん、俺…部屋に戻って寝るよ。おやすみ。」
キッチンを出て行く光琉の背中を見ながら、私は唇をキュッと噛み締めた。