王子様の危険な恋愛領域
「淳也、昨日…質問されたことについてなんだけど……」
「…………。」
「あれ、最後まで聞いて欲しい…。」
「………ああ。」
渋々…といった様子で返事をした淳也。
やっと聞き取れるぐらいの小さな声だった。
「私、光琉のことが…好きなんだ。」
「…………。」
「だから、淳也の気持ちには…応えられない…。ごめんなさい…。」
眉をしかめる淳也。
少し沈黙した後、淳也から溜め息が零れた。
「なんで、アイツなの?」
「えっ……」
「なんで……俺じゃダメなんだよ。」
逸らしていた視線を私に向ける。
真っ直ぐ見つめる瞳は、切なげに揺れていた。
「淳也とは…小さい頃からの付き合いで、一緒に遊んだり勉強したり、色んな思い出がある…。いつも、明るくて優しい淳也のことが私は好きだよ…。でも…その“好き”は、恋じゃない…。」
「…………。」
「ひ、光琉なんて…出会いは最悪だったし、あんなヤツ…好きになるわけないって思ってた。だけど、新しい一面を見るにつれて、今までにない気持ちが芽生えて…気付いたら好きになってた…。」
声が震える。
ジワリと涙が溢れて視界が歪んだ。