王子様の危険な恋愛領域

「ご、ごめんね…。本当にごめ……」


言葉の途中で淳也に体を引き寄せられる。


私は、淳也の腕の中にスッポリとおさまっていた。


「ごめん…。紗姫の気持ちが誰にあるのか、もう分かってたのに、“なんで…俺じゃダメなんだよ。”なんて言ったりして。往生際悪いよな、俺。」


「淳也…」


顔を上げると苦笑している淳也が目に映る。


「紗姫は謝る必要ない。悪いのは、紗姫に気持ちを伝えなかった俺自身だから。」


はぁ…と溜め息を零した淳也は、空を見上げた。


「俺が紗姫を意識し始めたのは、小学校の高学年の頃だったな。他の男子と仲良さそうに話す紗姫を見てたら、イライラしてさ。すげぇイヤだった。んで、時間が経つにつれてさ…その気持ちが“好き”なんだって気付いた…。」


「そんなに前から…」


「でも、紗姫に言い出せなかった。」


「わ、私が鈍感だから…でしょ?ごめんね…。」


つい最近まで、自分が鈍感なことにすら…自覚がなかった。


本当、バカだよね…。


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