王子様の危険な恋愛領域
「昨日、無愛想王子が俺に言ったこと…まさにその通りでさ、あまりにも的確なこと言われたから、すげぇ腹立った。思わず、アイツを殴りそうになったけど、あれ…完全な八つ当たりだったな。」
気まずそうに頭をクシャクシャと掻いた淳也。
思いっきり空に向かって背伸びをした。
「とうとう、紗姫にフラれたんだな…俺。」
「……ごめんね。」
「謝らなくていいよ。紗姫の気持ち、聞かせてくれて…ありがとな。なんかさ、ちゃんと言葉にしてもらったおかげで、スッキリした…。」
「淳也……」
「無愛想王子のことは嫌いだけど、アイツが紗姫のこと、すげぇ好きだってのは…分かるから。アイツと一緒なら、きっと…紗姫は笑顔で居られるよ…。」
そう言って、笑った淳也。
その笑顔は、少し切なさを滲ませていて…
胸が強い力で掴まれたかのように苦しくなる。
「んじゃ、俺…先に教室に戻るよ。」
「う、うん…。」
屋上のドアの方に歩いていく淳也を見つめていると、突然…こちらに振り返った。