王子様の危険な恋愛領域
「紗姫…!」


「なに?」


「俺、フラれたけど…お前の幼なじみとして、また…いつもみたいに接してもいい?」


「も、もちろん…!」


「…良かった。」


私の言葉に、ニカッと笑った淳也。


さっきとは違って、ホッとしたような…嬉しそうな笑顔に、目元に熱いものが込み上げてきて、視界を滲ませた。


きっと…


今のは、淳也の気遣い…。


私が気まずくならないように、わざわざ…そんな風に聞いてくれたんだよね…?


淳也のこと傷つけたのに…


本当、優しすぎるよ…。


私の姿を見た後、足早に屋上から出て行った淳也。


色んな気持ちが混ざり合って、涙がポロポロと頬をつたう。


淳也、傷つけてごめんね…。


優しい言葉を掛けてくれて、ありがとう…。


そう、何度も心の中で繰り返していた。




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