王子様の危険な恋愛領域
「ま、待った…?」
「いや、俺も…ついさっき来たところ。」
「そっか…。」
「…………。」
ぎこちなさが消えない会話。
光琉は俯き加減で、私の方を見ていない。
それが、たまらなく切なくて、胸が苦しくなった。
こんな表情をさせてるのは、紛れもなく…私がモタモタしていたせい。
だんだん光琉に惹かれている自分がいたのに、それが恋だっていうことにも、なかなか気付けなかった。
恋愛に疎すぎた…。
内心、光琉は…そんな私に呆れてるかもしれない。
でも…
初めて恋した大切な人に、私の素直な想いを伝えたい。
「光琉、今から話すこと…最後まで聞いて欲しい…。」
「…ああ。」
頷く光琉を見つめながら、私は言葉を続けた。
「今日のお昼休みに、淳也と二人で話をしてきたの…。昨日のことで…。」
「…………。」
光琉の肩がピクリと動く。
目は伏し目がちだ。
「私、淳也の気持ちには応えられない…って、伝えてきたんだ…。」
「えっ…」
その瞬間、光琉は顔を上げる。
私たちの視線が重なった。