王子様の危険な恋愛領域
「そっか…。そうだったんだな。」
柔らかい光琉の声が鼓膜を震わせる。
「紗姫の気持ち、聞けて良かった…。そんなストレートに告白するとは思ってなかったから、ビックリしたけど…かなり嬉しい…。」
ギュッと強く抱きしめる光琉。
弾んでいる声と包み込んでくれている光琉の体温に、笑みが零れた。
「俺、正直…紗姫にフラれるんじゃないか…って思ってたんだ。」
「えっ?」
ど、どうして…?
思わぬ言葉に光琉の胸元に埋めていた顔を上げる。
目を見開くと、光琉は苦笑いを浮かべた。
「俺の強い嫉妬のせいで、紗姫に対してイライラした気持ちが抑えられなくて、無理やりキスして泣かせただろ?こんなヤツ…好きになってもらえるどころか、嫌いになるよな…って思ってさ。そう考えたら、紗姫に接しづらくなって、上手く話も出来なくなっちまった。」
「光琉……」
「今朝、紗姫から話があるって聞いた時に、これは別れ話かもしれないって感じたんだ。だから、昼休みのこと切り出された時に、先に適当な嘘ついて、やり過ごした。」
そう言って、光琉は部屋をグルリと見回した。