王子様の危険な恋愛領域

「光琉、携帯…鳴ってるよ?」


「いいよ、放っておけば…そのうち止まるだろうから…。」


あらためて、キスをしようと顔を近付けてくる光琉。


でも、相変わらず鳴っている携帯。


「や、やっぱり出た方がいいんじゃない?」


「…………。」


「光琉…?」


私が促すと、光琉は溜め息を零した。


「……ったく、せっかくの雰囲気を壊しやがって…。誰だよ…。」


渋々といった顔で体を起こして、携帯に出た光琉。


「もしもし、何か用?俺…今は取り込み中だから、すげぇ忙しいんだけど。」


今の今までの嬉しそうな顔は、一転して不機嫌そうな顔へ。


ムッとしている光琉を微笑ましく感じながら、私も体を起こす。


すると、電話の向こうから微かに女の人の声が聞こえてきた。


「は?明日…!?ダメだダメだ。っていうか、今週は無理。まあ、来週以降なら考えてもいいけど。」


相手、誰だろう…?


光琉の知り合い…?


光琉から女性の知り合いがいるとか、聞いたことは無いけど……。


「あー、分かったよ。なるべく早く考えるから。じゃあな。」


電話の相手をあれこれ考えているうちに、素っ気なく会話を終わらせた光琉。


さっさと電話を切ると、苦笑いしながら私の方に視線を向けた。


< 291 / 295 >

この作品をシェア

pagetop