王子様の危険な恋愛領域
「光琉、携帯…鳴ってるよ?」
「いいよ、放っておけば…そのうち止まるだろうから…。」
あらためて、キスをしようと顔を近付けてくる光琉。
でも、相変わらず鳴っている携帯。
「や、やっぱり出た方がいいんじゃない?」
「…………。」
「光琉…?」
私が促すと、光琉は溜め息を零した。
「……ったく、せっかくの雰囲気を壊しやがって…。誰だよ…。」
渋々といった顔で体を起こして、携帯に出た光琉。
「もしもし、何か用?俺…今は取り込み中だから、すげぇ忙しいんだけど。」
今の今までの嬉しそうな顔は、一転して不機嫌そうな顔へ。
ムッとしている光琉を微笑ましく感じながら、私も体を起こす。
すると、電話の向こうから微かに女の人の声が聞こえてきた。
「は?明日…!?ダメだダメだ。っていうか、今週は無理。まあ、来週以降なら考えてもいいけど。」
相手、誰だろう…?
光琉の知り合い…?
光琉から女性の知り合いがいるとか、聞いたことは無いけど……。
「あー、分かったよ。なるべく早く考えるから。じゃあな。」
電話の相手をあれこれ考えているうちに、素っ気なく会話を終わらせた光琉。
さっさと電話を切ると、苦笑いしながら私の方に視線を向けた。